大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(ツ)203号 判決

原判決の援用する第一審判決の事実摘示によれば、被上告人は、昭和二十一年三月頃本件土地のうち本件係争部分三坪(原判決添付目録(一)記載の部分)に店舖三坪を築造し、飲食店を営んでおり、昭和二十三年十月頃地主である伊藤兼吉から右被上告人の占有する本件係争部分を買受けたものであり、上告人等との間にその分筆手続は本件土地について仮換地の指定がなされた後に行うこととしたのであると主張し、本件係争部分の分筆並びに所有権移転登記手続を求めるというのであるから、右被上告人の請求は、従前の土地である本件土地についてその所有権を取得した部分について分筆並びに所有権移転登記を求める趣旨に解し得られないではない。かりに、原判決のように、右被上告人の請求には本件土地の仮換地について換地処分の公告があつたときに所有権移転登記せよとの請求を含むものと解しても、上記原判決の認定した事実によると、被上告人が前記土地の所有権取得後本件土地全部について仮換地の指定がなされ、被上告人は右仮換地指定後本件係争部分(原判決添付目録(二)同図面(二)表示の部分)にその所有建物を移築して右土地を占有しているというのであるから、それだけでは、本件係争部分と被上告人が仮換地指定前に建物を所有して占有していた敷地部分とは同一の土地であるとは見ることができない。そうだとすれば、右仮換地指定後の本件係争部分について換地処分の公告があつたときに分筆並びに所有権移転登記手続を求める被上告人の請求を認容するためには、本件係争部分について、被上告人と上告人外三名との間に、仮換地上に移築した建物の敷地部分が仮換地指定前被上告人が本件土地上に建物を所有して占有していた部分に対応するものであることを認め、その部分について分筆手続をなした上所有権移転登記手続をなす旨の合意がなされる等、特段の事由がある場合でなければならない。しかるところ、原判決は昭和二十三年十月頃上告人外三名と被上告人間に成立した土地分割の契約によつて、被上告人は仮換地指定後の本件土地のうち移築した建物の敷地となつている部分(雨落敷)について所有権を有するものであるとの判断をなしているが、右土地分割契約の内容としては、仮換地指定前の本件土地を買受けるに際しては、上告人、被上告人を含む五名の間で、被上告人は所有建物の敷地部分三坪を所有し、その余の四名は残る土地を持分各四分の一とする共有(右四名は被上告人所有の三坪を除く以外の部分を各自の現に占有使用している面積の広狭にかゝわりなく仮換地の指定があつた後土地の情況に応じて公平に分割する)とし、仮換地の指定があつた後に右土地の分筆分割の手続を行うとの合意が成立したと判示(その合意の内容は具体的に明かにされていないし、その趣旨が、たんに被上告人に対しては本件土地の仮換地について建物の敷地として必要な三坪を分割というのであれば、右分割を受ける土地はまだ現地において特定されていない)するのみで、右土地分割契約において、当事者間に被上告人が仮換地指定後建物を移築した本件係争部分について上記のような特約が、明示或は黙示的にもなされたかどうかの事実についてはなにも確定するところがない。してみれば右事実を確定することなく、まんぜんと本件土地買受けの際になされた土地分割に関する合意によつて被上告人は仮換地指定後の本件土地のうち被上告人所有建物の敷地部分(雨落敷)について所有権を有するものであるから、仮換地の指定があつた後は本件土地の所有名義人である上告人に対し、分筆手続をなしたうえ所有権移転登記を請求し得るものであると判断した原判決は、審理不尽ひいては理由不備の違法を犯したものといわざるを得ない。

(村松 江尻 杉山)

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